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6年ぶりの実戦復帰
2016.02.17 UPDATE
今年47歳になった僕にとって、現役復帰を目指してのトレーニングは決して楽なものではなかった。まずはフィジカルを戻すトレーニングを中心に行い、徐々にボールを使った練習も加えていった。
とにかく1ヶ月間、真剣にトレーニングに没頭したよ。そろそろサンダーバーズにも最終的な返事をしなければならない時期が迫る頃、僕はトレーニング前と比べて体重を30%減少させることができた。チームと連絡を取り合いながら、自分の気持ちは自然に現役復帰に向かっていたね。
前回、現役復帰を決めたのは親友のヨシオカの存在があったからだと説明させてもらったが、実はもう一つ理由があったんだ。コーチとして、若い選手たちを指導してみたいという気持ちだ。そこでヨシオカとチームにも自分はコーチ兼任でやりたいと言ってみたところ、彼らも同じ考えだった。嬉しかったよ。息子が21歳になり大学に進学することが決まっていたから、少し学費も稼がないといけなかったしね(笑)。
そして6月3日、正式にサンダーバーズと契約し、記者会見を開いてもらった。富山は初めて訪れる場所だったけど、久し振りの日本はやっぱり最高だったよ。あとこれについてはまた後で話をさせてもらいたいんだけど、自分は大の日本食好きなんだ。嫌いなものがほとんどないんだよ。日本に着いた直後から日本食を満喫する日々だった。ただ、本業の野球の方はというと、最初から本当に大変だったんだ。
6月は自分にとって春季キャンプのようなハードなものだった。日々筋肉痛に苦しめられ、6年ぶりに体験する実戦のボールにはほとんど目がついていかなかった。正直言うと、もうプレーしたくないとすら思ってしまったほどだったんだ。
でも、やっていくうちに徐々に慣れていくのがわかったし、成績も出てきた。7月は打率.471を記録し、月間MVPも獲得でき、さらに8月も.432を記録できた。シーズン終盤は再び自分のプレーに納得することが出来たんだ。
コーチも実に楽しかった。若い選手たちに打撃指導するのは新鮮で、また野球人としていろいろなことを学べたからだ。改めて現役復帰させてくれたヨシオカに感謝するよ。できれば来年以降も続けたいと考えているくらいだ。
最後にちょっと余談になるけど、今回の現役復帰には少しエピソードがある。ヨシオカと僕の共通の知人が最初に連絡をくれたのが、僕が昔使っていたメールアドレス宛だった。でもこれはその時には、契約が残っていた衛星TVのためだけに残していたアドレスで、普段はまったくチェックしていなかったものなんだ。実はメールが届いていた事にも数日間気づかなかったくらいだからね。
もし普通に衛星TVの登録アドレスを変更して昔のアドレスを消去していたら、僕のところにはヨシオカからの連絡は届いていなかっただろう。まさに僕を日本に呼び戻してくれた、なにか運命的なものを感じているんだ。