タイズプレゼンテーション

ローズ語り 史上最強助っ人のホンネ~今だから語れる"あの時"のこと

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またいつの日か…

2016.09.14 UPDATE

まずはこのコラムをご覧頂いた読者の皆さんにお礼を申し上げるとともに、久々の更新がこのようなかたちになってしまったことをお詫び申し上げます。

すでに富山サンダーバーズは今シーズンの全日程を終了していますが、ご存知のようにタフィ・ローズ選手兼任コーチは一度も日本の地を踏むことはありませんでした。すでにローズ氏の友人でもある吉岡雄二監督から了解も得ており、この場を借りてできうる範囲ではありますが、事情説明したいと思います。

今年のローズ氏は早い段階から来日準備を進め今シーズンに向け積極的でした。トレーニングもしっかり行い、冬の間はメキシコのウィンターリーグにも足を運び選手視察を行うなど、頻繁に連絡をもらっていました。

ところが事情は一変します。来日を約1ヶ月後に控えた2月上旬、ローズ氏から写真とともにメッセージが届きました。そこにはパンパンに膨れあがったローズ氏の右脚ふくらはぎと足首が映し出されていました。トレーニング中 に負傷してしまったということでした。

その後再び連絡があり、地元の医師の診断を受けしばらく治療が必要なことと、医師の許可がないと来日できないとの説明を受けました。そのままサンダーバーズにも説明し、了解を得たのはいうまでもありません。

ですが状況はさらに悪化していきました。ふくらはぎの治療を続けながらも、今度は医師から右ヒザの手術の必要性を示唆されたとの連絡まで届くようになりました。

「まだ脚は腫れ上がったままだし、身体の調子も落ち始めている。年をとったね…」

この辺りからローズ氏の連絡はネガティブなものばかりになっていきました。それと同時に連絡の頻度も極端に減っていったのでした。

ただローズ氏本人から「日本には行きたい」との意思表示を受けていました。なので準備ができれば連絡があるだろうと待っていたのですが、残念ながら右脚ふくらはぎの回復状況についても左ヒザ手術の有無についても連絡をもらうことはできませんでした。そして何度かこちらから連絡を試みた結果、以下のようなメッセージが届いたのです。

「何もわからない。今はふくらはぎ、ヒザ、肩と身体中が悲鳴をあげている。今は自分の人生を含め考えていくしかない。結論が出るまでもう少し時間が欲しい。最愛の友人のヨシオカにもそう伝えて欲しい」

結局ローズ氏からの連絡はこれが最後になってしまいました。裏を返せばローズ氏の中ではまだ結論が出ていないということになるのでしょう…。

このコラムがスタートしたのは、昨年6月にローズ氏に同行し、サンダーバーズの入団会見に立ち会い、その晩に吉岡監督らと会食した時のローズ氏の発言がきっかけとなりました。

「できれば自分は日本での野球人生について世に広めてみたい」

そしてローズ氏が披露してくれたエピソードはまさに面白いものばかりで、自分もぐいぐい引き込まれていきました。すぐさまいろいろ関係者に話を持ちかけた結果、こうしてコラムを開始できたというわけです。

いうまでもなくこのコラムは“語り部”であるローズ氏が必要不可欠です。まだ近鉄入団1年目しか紹介できなかったのが残念でなりません。

今もローズ氏からの連絡を待ち続けています。今後何が起こるのかは自分にもわかりません。ただ現時点でお伝えできることは、彼が再び元気な姿を日本のファンに披露する日が来ることを信じながら、一旦このコラムを休載させて頂くということです。

今までご愛読ありがとうございました。そしていつからまたお会いできる日まで…。